プリント基板の開発で必要となる費用について

電子機器を作る上で、プリント基板の開発は欠かせません。
プリント基板とは何ぞや・・・そう、機器の筐体を開けると、中に入っていてICが沢山はんだ付けされている、緑色の板のことです。あの緑色の基板、配線が沢山張り巡らされていて抵抗やICなどが電気的に接続されています。さてそんなプリント基板の開発に必要な費用ですが、主に以下が挙げられます。ここでは、プリント基板そのものと、そこに部品を搭載(実装と言います)する費用を紹介します。
以下は私が開発したプリント基板です。

プリント基板設計費
開発費の一部に含まれていることもありますが、たいていの場合はプリント基板の設計は専門の基板設計業者・・・アートワーク業者、アートワーク屋というところで行われます。この設計の腕前によって、量産時の歩留まりだったり、基板の小型化だったりに大きく影響を与えます。回路設計と同じぐらい、重要な役割をもつセクションです。
金額のイメージは、部品の実装密度や部品の規模に左右されます。部品点数が多いほうが配線をする手間が増えるため費用は掛かりますし、また実装密度を上げると(部品を小さな基板に沢山詰め込むと)同じく配線をどこを通すかといった検討が増えるため、費用が増加します。また量産単価を下げるために基板の層数(配線を通すレイヤーと言えばわかりやすいでしょうか)を減らすと、設計費用は増えます(が、量産単価は下がります)ので、そのあたりのさじ加減がノウハウの一つになると思います。

プリント基板型費用(版代)
プリント基板は印刷版のようなものが必要になるため、型代やイニシャル費と呼ばれる版代のようなものが必ず必要になります(その費用を単価に案分して販売しているサービスもあります)。
安いもので20万円以下~ビルドアップ工法という方法で作られた大型基板だと、100万円近くなるものもあります。

ここからが、部品を実装する上で必要となる費用です。

メタルマスク費、マウンタプログラム費
プリント基板に部品を実装するには、
 プリント基板にペーストはんだを塗る(メタルマスクが必要)
 マウンタ(部品を載せる機械)で部品を載せる(マウンタプログラムが必要)
 リフロー炉と呼ばれるオーブンではんだ付けを行う
という工程を踏みます。
はんだを決まったところにだけ塗るステンシル費と、部品をどこに置くかをプログラムする費用が必要です。
以下はヤマハさんのマウンタのYoutube動画です。これを見るとマウンタが何をしているかがよくわかるかと思います。
https://youtu.be/6vh3kfEuCH4?t=73
メタルマスクの費用は大きさにもよりますが1枚2~5万円程度(両面に部品を載せる場合には2枚必要となります)、プログラム費用は部品点数にもよりますが一般的には5~20万円ぐらいと思います。

実装工賃
マウンタに部品をセットしたり、マウンタの減価償却、検査費用など、一般的な工賃が必要となります。また、実装後は検査などもセットで行われるため、目視検査や専用の治具を用いた導通検査なども行われ、その費用も必要となります。
この費用は完全に各基板ごとに異なりますが、時間単価にして5~7000円ぐらいが多いように思います。
部品を実装すると、以下の写真のような見た目になります。
※一部画像を加工しています。

治具費用
上記実装検査をより精密に行う、といった検査が必要になった場合には、専用の治具が必要になる場合があります。生産ロット数が少ない場合にはフライングプローブと呼ばれるもので導通チェックを行うこともできますが、1枚の基板をチェックするのに数分間必要となるため、大量生産には不向きです。その場合、専用のプローブ治具を作製し、導通検査を行うことになります。
治具の費用も規模により大きく異なりますが、30~70万円ぐらい掛かることが多いかと思います(プローブで当たる点数や、基板の大きさによる)。

如何でしたでしょうか?なんとなくの費用感など、うまくお伝えできれば幸いです。



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